人間は欲しいものを探し、見つけては獲得に務め、手に入れることによって味わえる喜びを求めて生きていると思います。
社会を大多数の人が喜びを求めて生きることができる環境にするために、人類は何世代にも渡って試行錯誤を繰り返して社会規律・慣習・法律を築いてきました。
宗教も社会に合わせて漸進あるいは改革し同様の役割を果たそうとしているのでしょう。
社会規律・慣習・法律や宗教の教えは一人一人の価値観の形成に様々な形で影響を与え、全体として社会の秩序維持に役立っています。
個々人も、本能的に「自己保存」と「自己利益」を優先する傾向にありますが、幼少期から各自の生活環境の中でさまざまな経験を繰り返し、欲しいもの、大切なものを探し出して価値観を築いていきます。
各自の生活環境、例えば、属する社会の慣習、幼児教育などが各人の価値観の形成に大きく影響します。
幼少期に欲しいものを見つけ出して熱中し、手に入れた喜びを体験することは、自分の価値観を形成する出発点になります。
幼児は自分中心の視点いわゆる万能感で世界を理解し始め、親や周囲の大人との関わりを通して価値観を形成していきます。
万能感を否定し過ぎると自信喪失や自己否定につながり、認め過ぎると傲慢や挫折に弱い傾向になり、適度に認めながら現実を学ばせると挑戦心・自己肯定感を持ちます。
自分の価値観を土台にして自己確立がなされると、成したいことを他人軸ではなく自分軸で探し出すようになり、達成した喜びや満足感も他人軸に支配されて成した場合に比べて比較にならないほど大きくなり、自己肯定感も強くなります。
幼児遊びを制限して親の価値観を押しつけ、あるいは自己保存と自己利益に反して虐待まがいなことを行うと、自己確立どころか自己否定するようになり、脳の発達や人間関係にトラブルをもたらします。
大人になるにつれ、幼少期に培った価値観の通りに欲しいものを手に入れることは難しくなります。
望みが叶わないと自信を失い、劣等感を抱いて無気力になり、自己肯定感が低下する傾向があります。
挑戦に敗れ自信を失ったときにどのように対処すればよいか、どのような姿勢で生きるかを上述の内容を含め心理学的見識も含めて学生に分かりやすく教える必要があると思います。
時には、今までにしたことを振り返り、それをしたのは、自分が欲したのか、流行っていたからか、親のプレッシャーからかなどと自問すると自分の人生の楽しみ度を自己評価できるでしょう。
場合によっては、コンプレックスからその原因を見つけ出して解放されるかもしれません。