多くの人々を眺めるとき、自分の目標設定、実現努力、目標達成の喜びのサイクルを繰り返して生きている人は、 目標が世俗的に小さなことであっても、 いきいきと楽しく生活されています。
これには、自分の価値観を設定する能力、目標を設定する能力、目標を達成する能力が必要です。
このことから、人の生きる目的は、自分の目標を一つ一つ達成する喜びを感じることであるとともに、自分の目標達成に必要な能力を得るために生きているとも言えそうです。
自分の目標設定
人間は社会的な生きものであり、社会目標が達成されることに喜びを感じるでしょう。しかし、これは人間性の一面ではありますが、人は、他から押付けられた目標でなく、自分の価値観を実現する目標の達成により大きな喜びを感じることも真実でしょう。
各人が自分の目標を実現するためには、他人の目標を尊重する信念と、社会の目標達成に協力することがベースにあります。
この関係は、自分の目標、他人の目標、社会の目標が正しいものであることを前提にして成り立つもので、自分と他人および社会との基本関係のように思います。
自分の目標を達成する各人の努力を互いに尊重することが正義の最低条件だと思います。
自らの目標を設定する能力
達成の喜びを自らが感じうる目標設定には、自分の価値観の確立が必要でしょう。自分の価値観の確立には、自分を認識する能力の一つである自己肯定感が基礎になると思います。
確かな自己肯定感によって自分以上でもなく以下でもない自分の欲望、能力を認識し、自分を活かすためには何を大切にするかの自分の価値観を確立できるものと思います。
自分を認識する能力は、自分の感情をコントロールする能力とも謂われます。虚栄心や自分の過小評価を抑制し、冷静に客観的に自分を観察する能力を得ることも大きい目標です。
そして、自分の価値観に基づいて自分のしたいこと、成りたい姿を目標に設定し、この目標から様々な目標が網の目のように拡散し、目標を一つずつ達成してより大きな目標を達成していくのが生きることではないでしょうか。
さらに、知能(知識、思考力)を使って自分の欲望、能力、社会状況に適合した目標を設定する能力も大切でしょう。
目標を達成する能力
目標達成には、各目標に応じた身体的能力、知的能力、心的能力が必要です。
身体的能力は、目標を物質の世界で具体的に実現するための能力です。特に、スポーツや演芸のように目標を身体で実現するものは、目標を身体で実現するための技能を身体的能力として鍛錬する必要があります。
知識は代々伝承することができ、長い世代に渡って累積していくことができるものであり、現代人の知識は、古代や中世に比べ質的、量的に高度で膨大です。これら知識を記憶や調査によって利用する能力が求められます。
知的労働能力は、自らの知識によって社会に貢献する能力です。各種業界で働くための能力は、目標達成に不可欠です。
思考力は、目標の設定、実現過程でフル活動し、自分を世界でオンリーワンにしてくれるでしょう。
心は、自分を認識する能力(自己肯定力・使命感・感受性)、目標の達成能力(忍耐力・自己抑制・意志)、他者との協働能力(社交性・敬意・思いやり)です。
心は、目標を達成する能力の要を担っているにも拘わらず、一世代限りでご破算になってしまいます。したがって、この能力は、世代毎に自ら学んで入手していかなければなりません。
目標は、大きくなるにつれてますます、強い意志、時には使命感をもって困難に耐え、微細な変化に敏感ながら自信を失わず、かつ他人の助けがあってはじめて達成することができるものでしょう。
能力アップサイクル
自分の力、好きなこと、個性に相応しい目標を達成して自分を褒め、喜び、或は目標達成できないことに涙し、自省することを繰り返すうちに必要な能力を高めていくのでしょう。
必要な能力を得ることによって、さらに高い目標を行動で実現できるようになり、嬉しさも倍増していくのではないでしょうか。
各児童に相応しい目標の設定、必要な能力の洗い出しと習得、目標達成の行動のサイクルを経験させる教育を学校、家庭で実践されることを切望します。