人間を他の動物から完全に峻別するヒトの能力は、人間が言語観念空間を形成し、言語観念空間に形成した過去、現在、未来の自分を認識できることだと思います。
ここでいう「言語観念空間」とは、他人とのコミュニケーションツールである言葉によって人間が構築する抽象的な思考の領域を指します。
この能力が、言語観念空間の過去の自分と現実空間の自分との違いから何かを学び、求める未来の自分に向かって学びを活かし現実空間の自分に行動を起こさせます。
これによって、例えば、成功や失敗、楽しさや苦しさなどを経験してきた言語観念空間の時々の過去の自分と現実空間の現在の自分とから目標とする未来の自分を言語観念空間に自分の価値観を踏まえて描くことが出来ます。
価値観も言語観念空間に築かれるものですが、現実空間で生命を維持するために大切なことは本能として生まれながら現実空間で遺伝子に書き込まれ、必要時に現実空間で実現されます。
本能以外の価値観は、経験や教育から社会規範を学び、成功や失敗、喜怒哀楽を通して言語観念空間に築かれていくと考えます。
人間は、このような他の動物が持たない能力を備えて地球上に存在することの幸せと喜びを常に新鮮な気持ちで感受し、言語観念空間の意義を考え人間の責任を果たさなければなりません。
想像力を働かせれば困っている人や人間以外の生物の痛みや苦しみを言語観念空間に描いて多くの人と共有することが出来ます。
言語観念空間の意義は、自分や回りの生物の苦痛を取り除き、喜びを与える役目の要になることです。
人間の務めは、自分や回りの生物の苦痛を取り除き、喜びを共有することです。
最近、社会の閉塞感が大きくなり過ぎたためでしょうか、自分らしく生きることを望む人が増えています。
自分らしくは、自分の価値観を大切にすることはよいのですが、「自分らしさ」を優先するあまり、周囲の人の価値観や状況を軽視し、対立あるいは戦争になることがありす。
例えば、プーチンはロシア大国の復活という時代錯誤な独善的な自分の価値観を大切にし、ウクライナ人の価値観や現状を無視しウクライナ侵攻を続けています。
ネタニヤフはハマスを倒すという価値観を優先し過ぎ多くの民間人を犠牲にしてガザ市の制圧を目指しています。
トランプは経済開発と国際的投資の機会としてネタニヤフのガザ市制圧を承認しています。
金正恩は金家の存続のために自国の兵士をウクライナ戦争に派遣しています。
民衆は他者との調和、社会的責任を配慮して自分らしさ求めるとともに、自分らしさを独善的に政治に反映する政治家が選出されることを、候補者が当選したときの姿を言語観念空間に描いて防止し、戦争を問題解決の手段とする指導者が出現することを防がなければなりません。
指導者はじめ世界の人々は、自分らしを強行したときに生じる罪なき被害者の苦痛を想像力を働かせて自分の苦痛として言語観念空間に描いて、言語観念空間を有する人間の行為と対極にある、現実空間の身体を破壊する本能的な行為の戦争を阻止する責任があります。