1.はじめに
昨今、自分の利益、自分の属する集団、自国の利益のためにのみ権力を誤用して憚らない間違った価値観を持つ指導者が世界各地で病巣のように拡散しています。
集団の価値観は、間違った価値観を持つ指導者の影響を受けて間違ったものになる可能性があります。
人間は集団に属さないで生きることは不可能であり、自分の属する集団の価値観に即して自分の目標を設定、達成して集団の役に立つことに喜びを感じて生きるものと思います。
反面、人間は脳内に自分の概念の世界と価値観を自由に構築し、自分の価値観に即した目標の達成に喜びを感じます。
集団の価値観が間違ったものとなり、自分の価値観と異なるものになると、人は生きる喜びを見失います。特に、集団が国であると、国民は、生きる場所を失う恐れから間違った国の価値観に表面的に染まっていきます。
このような不幸を防ぐために、正しい価値観を持つ人々は、弱い人間が集団を作って生き延びてきたように、正しい価値観の集団を作って間違った価値観の集団に勝たなければなりません。
2.正しい価値観と間違った価値観
2-1 個人の正しい価値観
創造主の意思(価値観)は存在し続けることであると想像します。
人類にとって存在し続けることは、将来において生存するために役に立つことを現在において行うことであると考えます。
従って、個人の正しい価値観は、人が明日あるいは未来に生き続けるために役立つことを良しとする判断だと思います。
この価値観に従って人間は、人の役に立てる能力を得るために努力し、貢献できたことを自らの喜びとし、感謝されると嬉しいのではないでしょうか。
家庭や趣味などにおける個人的な活動、政治、経済、学術、芸能、スポーツなどにおける社会的な活動によって、家族や人々の生活を豊かにし、あるいは楽しくしたいと望む心はこの価値観から生まれる気がします。
さらに、人間は欲望、能力、生活環境などの個性が千差万別であり、個性に応じて脳内に自分の概念の世界を自由に構築します。そして、自分の概念の世界に自分の価値観を形成し、自分の価値観を実現する過程と結果に生きる喜びを感じるものだと思います。
これを加味すると、個人の正しい価値観は、人が明日あるいは未来に生き続けるために役立つと自らの個性に応じて設定した自分の成すべきこと又は、成りたい姿を追い求めることではないでしょうか。
逆に、他の人々を抹殺して個人の利益のみを求める価値観は、他の人々が明日あるいは未来に生き続けることを妨害するものであり個人の間違った価値観といえるでしょう。
また、何れの一方を選んで成すべきかと迷った場合、人がより遠い未来まで生き続けるために役立つ方を選択することが正しい価値観だと思います。
2-2 集団の正しい価値観
集団(国、企業、各種チーム、家庭など)の正しい価値観は、集団が正しい目標を達成するためにそれに属する個人に課す価値基準だと思います。
集団の正しい価値観は、個人の正しい価値観を否定するものであってはならないので、個人の正しい価値観と矛盾することがなく、集団に属する個人は集団の目標を自分の目標とし、それを達成するための努力と成果に大きな喜びを感じるのではないでしょうか。
人間は集団の正しい価値観を自分の価値観とし、集団の役に立てる能力を得るために努力し、集団の目標達成に貢献できたことを自らの喜びとし、集団から感謝されることを誇りに感じるのではないでしょうか。
2-2 集団の間違った価値観
一集団が他の集団を抹殺して一集団の利益のみを追求する集団の価値観は、人類が明日あるいは未来に生き続けることを妨害するものであり集団の間違った価値観だと思います。
人類は集団を作って生き延びてきたものであり、集団は優れた指導者に統率されて外敵に勝利して存在し続けることができたのでしょう。そして、人は集団に属さないで生きることは不可能であるので、集団の価値観に従って集団の役に立つことを望むのではないでしょうか。
しかし、集団の価値観は、間違った価値観を持つ指導者の影響を受けて間違ったものになる可能性があります。
このような例は、核兵器の保有を競う核保有国、軍指導者が暴走した第2次世界大戦前の日独伊、手段を選ばず経済的成果のみを追求する一部の企業体、勝つことのみを求める利己的な指導者を擁する一部のスポーツ団体など枚挙にいとまがありません。
各個人は日々の生活に追われ、明日を生きるために役立つことを優先しがちですが、指導者には人々がより遠い未来まで生き続けるために役立つことを見抜いてその実現のために行動する能力が不可欠であると思います。
3.おわりに
集団の価値観が間違った方向に進まないようにするためには、正しい価値観を持つ人々が常に声を上げ、集団の価値観を正しい方向にリードし続け、正しい価値観を持つ人を指導者に選定するとともに、各人が自ら考えて自分の正しい価値観を持ち、それに従って行動することが原点であるように思います。
最後に、香港人の正しい価値観を守るために、間違った価値観を持つ指導者層に対して集団となって戦った香港の民主党の圧勝に心から敬意を払いますが、なお今後の動向を見守りたいと思います。