全体主義国家に対する危機管理

21世紀に何故、目を覆いたくなるようなプーチン大統領の愚行が出現したのでしょうか。

民主主義国家の全体主義国家に対する危機管理において、技術を含めた通商面で甘さがあったことが一因であると言われています。

そこで、全体主義国家に対する平時からの危機管理について考察しました。

自分の価値観を化体する理想に沿った目標達成の喜びを創造主と共感することが人生の意義と信じている立場から、民主主義に沿った価値観、理想を正とし、それに反するものを誤とします。

人間は、物と時間から成りたつ物質空間と、コミュニケーションによって他人と共有可能な脳内に築いた心像空間からなる現世に目標を定め、「身体」、「知能」、「心」を使って目標達成の喜びを求め、長くも短くもある一生涯を繰り返すもののように思います。

「身体」は、一生涯の間に、成長、成熟し、老化して消失します。

「知能」は、現在の社会情報、知識、思考力に基づいて心像空間を形成し、各種情報、私欲、思考力に基づいて心像空間に自分の価値観や理想を形成します。

知能の一部である知識は、数百世代にも渡って蓄積された知識を吸収し、その上に現世代の知識を積み上げていくことができます。

このため、科学進歩はめざましく、兵器も殺傷能力を飛躍的に増大していきます。

「心」は、欲求および自己抑制力であり、個人一世代限りのもので、年齢とともに向上し、場合によっては稚拙になります。

マズローの欲求5段階でいうと、1段階目の生命を維持する生理的欲求が原始的で一番強く、5段階目の自分の理想を実現する自己実現欲求が最上位ですが一番弱いでしょう。

これが、総論では理想に賛同し、各論ではパンを優先する人間の性の素であり、反面、理想に沿った目標達成の喜びが大きくなる素だと思います。

自己抑制力は、欲求をコントロールする能力であり、執着力、忍耐力、行動力、自己肯定力、自信、集中力、度胸、協調力、包容力などです。

心の発達は、自分の目標を達成するための動機付けとなる欲求と、他人、集団、環境のために自分の欲求を抑制する自己抑制力とを適切に調整する心や、パンを我慢して理想を求める心に近づくことでしょう。

個人の価値観や理想は、欲求、能力、取得知識、成長過程、現状などの個人情報、および世論、国民の価値観、国状、国の歴史などの祖国情報に基づいて形成されます。

プーチン大統領は、一部の国民の価値観、祖国の歴史や現状、個人の欲求、成長過程や現状などから、多くの人々や現世が望まず、創造主の意思に沿わない自分の価値観を化体したソ連帝国という誤った理想を形成したのでしょう。

ソ連帝国は約70年も昔のことであり、世界状勢は現代と大きく異なり、兵器も知識の積み上げで飛躍的に殺傷能力が高くなっている現在のものと異なります。

ところが、プーチン大統領の自己抑制力は、70年前の指導者より向上せず寧ろ権力欲と加齢で稚拙になっていたのでしょう。

プーチン大統領は、時代錯誤した理想と、稚拙な心と、殺傷能力が飛躍的に高くなった兵器とがミスマッチングした状況下で、多くの人々や現世が望まず、創造主の意思に沿わないソ連帝国という誤った理想の実現に向かって行動を開始したと想像します

このような国家指導者の誤った理想を実現するための行動を阻止するための危機管理が強く望まれます。

危機管理の面から、国家指導者の自己実現欲求に基づく価値観や理想が、多くの人々や現世が望むことか、或いは創造主の意思に沿うものか否か平常時から監視し、必要な対策が講じなければなりません。

例えば、対象国の指導者が持っている価値観や理想が誤ったものである度合いを人工頭脳AIを使って判定し、危険値に応じた対策、例えば最先端技術の輸出禁止などを平常時から講じます。

AIへの入力は、指導者の欲求、成長過程、現状などと、祖国の世論、国民の価値観、国状、歴史などが必須項目です。

全体主義国家では、国民は国家のために存在するものであり、国民の価値観もそのように洗脳されています。

全体主義国民の価値観を具現化することは、自分の存在意義である国家が大きくなることであり、指導者が国民の支持を得るために覇権主義を取ることは必然です。

覇権主義を本質的に備えている全体主義国家が存在する以上、各民主主主義国家は応分の軍事力を備え、覇権の実行を一体となって抑止しなければなりません。

全体主義国家との通商は、その国民の個人主義的価値観の理解度に応じて制限する程度の配慮が必要だと思います。

民主主義国家においても、個人の尊重は理想ですが、パンへの欲求はもっと強いです。

民主主義国民が全体主義国家に対する危機管理から生じる経済的な不利益を我慢し、必要な対策の実行に協力することは当然の責務でしょう。

人間の価値観の形成には長い年月を要し、国民の3割ほどの価値観を変えるには半世紀ほども掛かります。

開発途上国への経済支援においても、パンと個人の尊重とをセットにし、少なくとも50年間危機感をもって続けないと、民主主義を根づかせることはできず全体主義の後塵を拝する恐れがあります。

国民は国家のために存在するものであるという価値観を有する全体主義国家の国民も、個人の能力、興味にマッチした各人の価値観を形成し、自分の価値観を化体した理想に沿った目標を達成する喜びを創造主と共感できる世界になることを願います。

平穏な市井生活の喜び

創造主は「無」の対極の「有」を永久に明示し続けるために宇宙を創造されたと想像します。

そして、人間の存在意義は、各自が多様な自己実現能力を発揮して目標を達成し、生きる喜びを創造主とともに共感することではないでしょうか。

人間は、生きる喜び存在を強く現出するために、生存欲、生存するために必要な基礎的な判断基準と学習能力および集団で行動する集団脳、概念の世界を大脳内に構築して他人と共有する概念共有能力などの、謂わば自己実現能力を生誕時に授かっていると思います。

そして、千差万別な生きる喜びを現出するために、自己実現能力は個人毎に生来異なり、生活環境、学習内容、年齢等よって様々な方向に成長し変化するのでしょう。

ロシアの暴挙、中国の独善、独裁国家の増加、核兵器への依存、地球温暖化、格差拡大など人類にとって極めて深刻な問題が地球規模で起こっており、人間は、創造主の意図に反し、その存在意義を薄弱にし、延いては生存を危うくしているように感じます。

例えば、訳ありげな価値観の実現を目標に掲げて自己保全のために侵略行為を行なう独裁者と国家権力は、平穏な市井生活を犠牲にし、人間の生きる喜びを悲しみに暗転しています。

独裁者に惑わされた国民の一部は、自己実現能力を放棄して衆愚に転落しています。

独裁者と国家権力および衆愚だけでなく、権力を自己実現の目標に設定する権力志向者、産業革命後に高度に発達した物質文化を貪欲に追い求める一般市民も、各自に適した目標を達成して歓喜する人生の意義を問い直す必要があると思います。

自己実現能力は、正しい教育によって適正に発達し、各自に適した目標を達成可能にし、生きる喜びを実現します。

反面、自己実現能力は存在を強く現出するための能力ですので、教育を誤ると利己心、権力志向、自己顕示欲、自己保全の過大なものになります。

科学、産業、政治、芸術あるいは運動などの各分野で自己表現能力の高い人は、能力を活かして多くの人々や各分野のために貢献することで大きい喜びを実感することができるでしょう。

このように、権力は社会が社会に貢献した者にさらなる貢献を期待して与える手段であって、個人が自己実現能力を発揮するために設定する目標にはふさわしくありません。

権力志向や物質文化を偏重する風潮が、現在地球規模で起こっている深刻な問題の温床になっている気がします。

例えば、平穏な市井生活、ゴミのない社会を目指すボランティア活動などは、自分の能力を発揮するための立派な目標であると思います。

創造主は「無」の対極の「有」を永久に明示し続けるために、人間が生きる喜びを創造主とともに共感することを期待して、宇宙に人間を存在させたと想像します。

人間が生きる喜びを永久に現出するためには、自ら生存を危うくするようなことがあってはなりません。

各自が多様な自己実現能力を発揮するために設定する様々な目標は、永久に続く営みにおいては同程度の意義を持つでしょう。

しかし、各自の人生は有限ですので、自己実現能力の高い若者には、人間の多様性と、精神文化を尊重する教育を十分行なった上で、自己の能力にふさわしい高い目標を設定するように励ましたいと思います。