人は感情が伴わないと動かない

文化、文明が高度に進化した現代社会において、国民を犠牲にする独裁者が多くの国で出現する不可解や、日本の政権与党の政治家が邪教の食い物にされる不思議が起こるのは何故でしょうか。

これらは人間の性質がもたらすものでしょうが、どのような性質が要因になるのか考え、不可思議なことが起こらないようにする手立てを探ってみました。

要因になりそうな特質として、まず、人間は、喜怒哀楽、欲望、恐怖などの感情が伴わないと行動しません。

従って、人間の知性に基づく社会学、自然科学などが高度に進歩した現代においても、知性だけで行動を起こすことはありません。

例えば、史実だけでその顛末の面白さをしらないと歴史を学ぼうと思わないでしょう。

人間は、生きていくために自分を守るという自己保存本能を備えています。

これには、存在し続けたい、自分を守るために真実を曲げる、仲間外れになりたくないなど保身的な面があります。

そして、人間は、経験、教示、想像などに基づいて心像空間を各自の脳内に築き、言葉で他人と共有する心像空間共有能力を備えています。

これは高い文化、文明の形成を可能にする人間の素晴らしい能力ですが、反面、似た者同士が集団を作って他者を排斥あるいは集団の思想に感化、洗脳するという負の側面を有します。

現代社会における独裁者の出現と人間の性質との関係を整理すると、先ず、例えば恐慌、侵略等の危機から国を守った英雄が出現します。

人が窮状時に受けた感謝、信頼などの感情に対する執着は強く、英雄に対する敬畏の感情はその国の社会通念になります。

自己保存本能が異常に高く、他人の欲や自己保存本能を操る才能に長けた独裁志向者が英雄または後継団体に出現し権力を手中にすると、国家の統治機構を自分の親派で固めていきます。

国家が困窮状態あるいは権力闘争状態になると、独裁志向者は、英雄または後継団体に対する国民の畏敬、国民や反対勢力の欲や自己保存本能を巧みに利用して権力を強化します。

独裁者がその強い自己保存本能を発揮する怖さを体験したことがない国民は、独裁者の弊害を理性で理解していても、自分の身に降りかかる恐怖という感情で捉えていないので、独裁志向者が権力を強化していく政策に反対する行動を、各自の自己保存本能も働いて国民的な盛り上がりで行なわないうちに独裁者が誕生します。

日本の政治家が邪教の食い物にされたケースでは、先ず、自分の思いを他人に信頼させて他人の心像空間に入り込む能力、および他人の欲や自己保存本能を操る才能に長けた邪教教祖が出現しました。

邪教教祖は、反共産という思いを日本の大物政治家と共有し信頼を獲得し、何らかの利害関係を築いたと言われています。

大物政治家の子孫である某政治家は先祖が信頼して築いた邪教教団との利害関係を多少の疑義に目をつぶって継承したのでしょうか。

某政治家に近い政権与党の政治家は、某政治家が信頼する邪教教団を自己保存本能も働いて利用したつもりで利用されたのでしょう。

独裁志向者の権力強化策や邪教教団の洗脳活動を阻止するために、独裁者や邪教教団は国民や信者を犠牲にして自分の権力、利益などの我欲を追求するという怖さを、知識としてだけでなく感情面でも国民に強く伝達する工夫が必要だと思います。

ロシアのウクライナ侵略でも、市民の死傷、市街の破壊などの報道が視聴者にウクライナ人の憤怒、悲しみの感情を伝達し、ロシアの蛮行に対する怒りの感情を起こさせたことが、巨大な支援活動の原動力になっていると思います。

大多数の国民もマスコミも、心像空間で邪教を信じるように洗脳された信者やその家族の悲惨を感情で把握することができず、某政治家の不幸な死によって感情に訴えられるまで邪教教団の解散を求める行動を起こさなかったと思います。

報道は事実を伝えるものであり、偏った感情を伝えて人々を煽動することがあってはなりません。

しかし、理不尽な出来事については、被害者の感情を想像させる多くの事実を長期間に渡って伝達し、国民に同情や怒りの感情を誘発させて理不尽を解消する行動を起こさせるような報道を期待します。