価値観と政治体制の試行錯誤

個人や社会の価値観は政治体制と互いに影響し合い時代とともに変わることは歴史が示しています。

人は太古の昔から生存に役立つ知識や行動を試行錯誤して発見し個人や社会の価値観を形成してきました。

狩猟採集時代は、男性が狩猟、女性が採集で食物を得る分担があり、女性の地位も比較的高かったと思われます。

農耕時代になると、力仕事が多くなり男性の労働が増え、定住し財を蓄積相続し、家父長制が広がりました。

食物を耕作する土地を王国間で奪い合う古代文明から中世(封建社会)になると、領主が農民を支配しました。

土地を武力で奪い、守ることに高い価値がありました。

商業資本主義が発展した近世では中央集権国家が奴隷貿易や植民地支配の主導権を争いました。

産業革命後の近代は、食物の他にも様々な財が大量生産され、民主主義が普及し、帝国主義、社会主義が台頭しました。

IT、AIなどの科学技術が急速に発展した現代は、様々な政治体制を試行錯誤した後に民主体制を選択した国、民主主義を試行錯誤することを独裁体制が阻止している国、国民が強いリーダーを求めている国など異なる政治体制が混在しています。

現在、民主体制は他の政治体制より人の心地よい生存に役立つ価値観を国民に提供すると考えます。

しかしながら民主体制も試行錯誤して価値観を社会情勢や科学技術の発展に合せて更新しなければ崩壊するでしょう。

議会制民主主義共和国として誕生し、民主的なヴァイマル憲法を擁したヴァイマル共和国は、不景気、ヒトラーの巧みな演説、ナチ党のデマ、煽動などに対抗できる価値、政治を提供することが出来ず崩壊し、ヒトラーの独裁体制を誕生させました。

最近、米国では民主党政権が格差の拡大、IT技術革新などに対応した価値観に基づく政策、法整備を行うことができず、独裁的なトランプ政権を誕生させました。

民主体制で大切な価値を有する人権は、自由・平等・多様性です。

しかし、人が生存するために最も大切なものは食物です。

現民主体制も、全ての国民がひもじい思いをせずに食物を得ることができるような経済・社会改革を優先的に実施しなければ崩壊の憂き目に遭うでしょう。

「衣食立りて礼節を知る」は、生身の人間が試行錯誤して得た価値観でしょう。

試行錯誤は、課題解決のために熟慮した方策の実行の失敗を分析し、修正した方策を実行することを繰り返して課題を解決することです。

例えば、高関税が経済全体に与える影響を分析することなく性急に高関税を課すようなことは、試行錯誤ではなく、価値観における高関税の価値の優先順位を低くするだけです。

IT技術革新により情報戦略が飛躍的に有効になった現代、民主体制はデマ、煽動、ポピュリズムの標的になります。

このような前代未聞の状況下では、人権の一部を制限しても民主体制を固守できる法・制度改革を迅速かつ適切に実施することが急務であると考えます。

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