人類の存在意義

人類の存在意義は何なのでしょうか。

「最先端の生命化学を私たちは何も知らない」吉村 保著を読んで、オールマイティの創造主の存在と人類の存在意義を再考させられました。

同著によれば、細胞は、各種タンパク質や各種機能をもった細胞小器官等を内蔵した階層構造の生命の基本単位です。人間は、種々な働きを行う多種類の約37兆個の細胞で構成されています。

各細胞の細胞小器官の一つである核には、人ひとりつくるのに必要な情報であるゲノムを示すDNA鎖が内蔵されています。

各細胞は、人体の臓器や組織に必要な機能や形状を持つように生成され、必要な場所に配置されるようにゲノムに基づいて一つの受精卵から分裂して生成されます。

このような緻密で雄大な生命の仕組み、これを解明していく人類の英知をみるとき、創造主の存在を確信するとともに、人類は突然変異によってではなく、創造主の一部機関として誕生したものであるとの推論に達しました。

「無」と対峙するオールマイティの創造主は、ひとり一人が自らの意思で自由に行動する人類を必要最低限の仕掛けを組み込んで誕生させたと想像します。

そして、創造主は、このような人類のひとり一人が感じる存在観に共感することによって自分の存在を客観的に確認されているのではないでしょうか。

最低限の仕掛けとして、自ら生きる」、「生存を喜ぶ」、「変化する」の能力を人類のDNA鎖に書き込まれたと想像します。

「生きる」は生命欲であり、心身に備わっています。

人は、自分の立てた目標を達成したことに「生存の喜び」を感じます。

全く変化しないことは「無」と同じです。

人類は、DNA鎖に書かれた三つの仕掛けに従いながら環境の転変に対応して変化あるいは進化してきたのではないでしょうか。。

人々の能力、性格、身体、欲望の多様性、および個の生老病死も「変化する」の発露だと思います。

1匹の蜜蜂が生涯で集める蜜の量はティースプーン1杯ですが、世界の年間生産量は200リットル入りドラム缶約600万個にもなるそうです。

人類もひとり一人が個性に応じて活動し、生きる喜びを感じながら変化し、創造主と存在観を共有することに存在意義であると思います。

少人数の人々の存在観では不十分であっても、膨大な数の人々の存在観によれば創造主も自分の存在観を実感できるのではないでしょうか。

戦争は、「生きる」、「生存を喜ぶ」に反して多くの死、悲しみをもたらし、人類をご自身の一部機関として創造された創造主の意思あるいは人類を冒涜するものであります。

絶対主義国家は、一国家の存続、強い国家、独占体制の維持を求めるものであり、国民ひとり一人が生きる喜びを感じつつ変化し生きることによって創造主と存在観を共有するという人類の存在意義に悖るものであります。

各国の為政者は、人類の存在意義を熟考し、我欲追求に汲々とするのではなく、国民ひとり一人が個性を活かし生きる喜びを感じて生活できる場を提供することを政治目標に設定し、高い理想と誇りをもって政治活動に精励して欲しいものです。

余談ですが、例えば、舌の味細胞を一つの受精卵から分裂して舌の特定位置にどのようにして配置するのか不思議に思い、解明済みかもしれませんが、同著の一節「仮説と検証が化学の基本」に従って仮説を立ててみました。

癌細胞は無限に増殖するが、正常な細胞は約37兆個になると増殖が止まると記載されているので、各細胞は何回目の分裂によってできた細胞か認識し記憶していると推測します。

受精卵の背番号を1とすると、1回目の分裂後の2個の細胞は、自分の背番号を1,1+2=2と認識し記憶します。2回目の分裂後の4個の各細胞は、分裂前の2個の細胞の背番号1,2を受け継いだ細胞と、分裂前の細胞の背番号1,2に、分裂回数2から1を引いた回数だけ2を乗算した数(22-1=2)を加えた1+2,2+2の背番号の細胞となります。

同様に、n回目の分裂後の2個の細胞は、分裂前の2n-1個の細胞の背番号を受け継いだ細胞と分裂前の細胞の背番号にn-1を加算した背番号の細胞になり、各細胞は自分の背番号を認識し記憶します。なお、一つの細胞が分裂できなかった場合、隣の細胞が2回分裂するなどの校正情報もDNA鎖に記載されていそうです。

分裂した背番号Aの細胞は、内蔵したDNA鎖に記載された背番号Aの細胞に必要なタンパク質や細胞小器官等を受精卵から備わっているタンパク質や細胞小器官で作成し、その位置に必要な種類の細胞になります。

例えば、舌の味細胞でない背番号Aの細胞から分裂した味細胞になるべき細胞は、ゲノムに基づいてその背番号の味細胞に必要なタンパク質、細胞小器官や形状等を自ら生成し所定位置、所定形状の味細胞になるのではないでしょうか。

このようにして人体を臓器、組織を含めて約37兆個の背番号の付いた細胞で構成することができます。