憲法改正に国民的参加

1.はじめに

日本国憲法の改正の必要性は認められてはいるものの、現在ではとりたてて緊急性がないこと、改正すること自体が、戦争できる国への逆戻りを意味するとの不安、例えば自衛戦争のみ認めるとの条文が将来に拡張解釈される怖れなどから急転開することはないように思います。しかし、このような怖れの無い改正案を多くの国民が考えて準備しておくことは必要であると考えます。18世紀に生まれた民主主義は、自分が自由を求めるのと同様に世界中の他人の自由も認めることを原点としています。このとき自他の自由がぶっつかって争いが生じないようにし、互いに協力してより多くの国民が幸せに生活できる国のあり方を定めたものが憲法であると考えます。このような憲法の改正の内容自体に、多くの国民の思いや意見が反映されることが望ましいと思います。SNSに投稿される多数の人々の意見や感覚をAIで処理し、商品開発や経済活動に利用することが行われています。今回、この手法を憲法改正に利用することを提案します。

2.SNSとAIの利用

日本を愛し、日本国民が幸せに生きるための憲法改正に興味がある人は大勢います。芸術、物作り、研究、スポーツなどに興味があり、政治にあまり関心が無い人も多くいます。政治に興味が無くても、自分が興味のある分野をとおして、人およびその人の集まりである日本のあるべき姿を語る人は多いでしょう。そのような各人が考える日本のあるべき姿をSNSで比較的簡単に多数集めることが可能になりました。憲法改正に興味のある大勢の人が協力すれば、各人が求める日本の姿をSNSで集める仕組みを作り、集まった情報から大勢の日本人が望む日本の姿を表す憲法の素案をつくるAIを開発できるような気がします。これには多くの努力と費用が必要ですが、世界初のSNSとAIによる憲法作成プロジェクトであり、挑戦する価値があると思います。

3.自分の求める日本の姿を誰もが自由に語る社会風土の醸成

自分の求める日本の姿を、誰もが、何時でも、何処ででも、自由に考え語る社会風土と、それを実現可能とする仕組みを確立しておくことは、人々の自由と平和と幸せを永続的に維持するために、大切なことであると考えます。このような観点からもSNSとAIによる改憲案を読みたいものです。そのためには、誰もが簡単に安心して自分の求める日本の姿を投稿することができ、情報操作を防止して情報を正確に把握し、分析できるシステムの実現が不可欠です。

4.国民が求める国の姿リアルタイム可視化システム

政治に対する無関心と無知は、特に、国が経済的あるいは国際的危機に陥ったときに、国を不幸に導く野心家の台頭を導きます。そして、国の逆境時において一時の感情的な判断に左右されないために、長い期間に亘って国民が継続的に求める国の姿をリアルタイムに表すものが必要です。政治に関する無関心と無知を克服し、感情的な判断で国を危うくしないためにも、SNSとAIで国民が求める国の姿を誰もがアクセス可能に可視化するシステムは有効であると思います。

大勢の人から情報を気軽に得るために、例えば、一回の質問はバイアスの掛かっていない選択肢が記載された短いアンケートにするなど工夫が必要です。国民の求める日本の姿は、憲法改正に限る必要はなく例えば、税制、皇室、自衛隊、都道府県制、福祉、各種個人の権利の制限、二院制、死刑、教育、婚姻、育児、宗教、情報開示など極めて多くのテーマがありますが、一回のアンケートは一問に限り、長い期間を掛けて情報を集める覚悟が求められます。

5.おわりに

最近、情報操作、漏洩、安易な自己表現などのSNSの悪い面、および自分の頭で考えなくなる、人の仕事を奪うなどAIの負の面が顕在化し、功罪相半ばする感があります。しかし、SNSとAIは人類が発明した便利な道具であり、道具に使われることなく、便利に使いこなす必要があると思います。自分の求める目標を達成する自由を他人にも認めながら、自分の目標を実現して生きる喜びを実感するという最も人間らしい色々な場面での基本ルールをSNSとAIとをうまく使って作りたいものです。