戦争は悪である

人間社会に戦争という病がいまだに蔓延し、世界中に感染する恐れさえあります。

戦争の病原体と対処法について多くの人が我が事として真剣に考える必要があると思います。

1932年の二人の超偉人アインシュタインとフロイトの往復書簡『ひとはなぜ戦争をするのか』に束縛され、あるいは諦観を抱かされてか、このテーマが具体的に論じられることが少ない気がします。

アインシュタインの「人間を戦争というくびきから解き放つことはできるのか?」の問いに対するフロイトの答えは「人間から攻撃的な性質を取り除くなど、できそうにもない!」後に、「文化の発展を促せば、戦争の終焉ヘ向けて歩み出すことができる!」でした。

その7年後に第二次世界大戦が勃発し、現在もウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争など止むことがありません。

文化が最も発展した国の一つと思われるアメリカの大統領候補トランプ氏の本能的欲求から発せられる対立候補に対する非難、中傷、それを無意識に熱狂的に支持する支持者を見ていると、文化とは程遠い現状にむなしさを感じます。

しかし、勇気を絞ってアインシュタインとフロイトの答えを具体化して実行する方策を各国民が考えなければならない緊急時に差し掛かっているのではないでしょうか。

各国民が戦争防止策を議論し、戦争に関して持っている、無意識下にある道徳的な規範(超自我)、本能的な欲求(イド)、両者のバランスを調整する自己意識(自我)を再認識するだけでも戦争の抑制に繋がると思います。

例えば、ロシアの侵攻に対するウクライナの応戦は、ウクライナ国民のイド(生きる、独立、自由、誇りなどの無意識下の欲求)が超自我(戦争は国民の命、生活を犠牲にするので最悪とする無意識下の規範)を超えるので、自我がやむを得ないこととしているのだと考えます。

ロシアのウクライナ侵攻については、反体制ロシア国民の自我は、プーチンのイド(権力指向、百歩譲ってロシアの防衛機制)は良識あるロシア国民の超自我に対する詭弁であり、ウクライナ侵攻は許されるものでないとしているでしょう。

米国共和党員のトランプ支持を見ていると、共和党は正しいという常日頃は無意識下にある超自我が大統領選挙中には強く意識され、共和党員の自我がトランプ候補は不道徳という超自我より共和党勝利というイドに偏向しているのだと思います。

このような非定常時にも人々の自我が一つのイドに捕らわれることなく、イドと超自我との正しいバランスのとれた判断を行えるようにするために、無意識下にある他の超自我と、それに基づくイドを認識させることが大切です。

例えば、トランプ候補が大統領になると独裁体制を築き、民主主義が危険に晒される可能性があるとの正確性の高い情報が世に出ると、多くの共和党員の自我は民主主義を守るというイドを共和党勝利というイドより優先させるでしょう。

世界各国で戦争は国民の命、生活を犠牲にするものであり絶対に行ってはならないということを幼少時から教育して意識しやすい超自我にするとともに平和の大切さを常に訴えることによって、国民の自我が戦争指向の政策を選択することはなくなると思います。

一例として、先端技術の憲法AIを用いて社会情勢を分析し、確率の高い分析結果を公表して人々に意識させることによって、人々の自我が一つのイドに捕らわれることなく、イドと超自我とを正しく調整し、常に平和指向な判断を可能とするシステムの実現が必要です。